博士課程進学のススメ
研究人生も悪くないなぁーと思ったら,是非,博士課程に進学しましょう.
論文を3編投稿できれば,無事博士号が授与されます.
当研究室では研究テーマが山積していますから,研究テーマに困ることは絶対にありません.ちゃんとやっていれば3年以内に修了できます.
しかし,「修了後の就職の問題」や「生活費の問題」で躊躇するかもしれません.
そんな方の為に,このページをどんどん充実させて行くつもりです.(つまり,未だ作成中です...)
■ 博士課程における指導方針
先生方の指導方針は大別して以下の2つに分かれます.
[1] 放任型: 学生の主体性を尊重し,先生から学生に対してアレコレ言わない.しかし質問には応じる.時々,研究について重要なポイントを指摘する.(主体は学生)
[2] 非放任型(研究サポート型): 逐次的に学生の進捗状況を伺い,何をやるとベストなのかを共に決めていく.つまり,学生と先生で共に研究を進めていく.(学生と先生は平等)
一見,非放任型が好ましいと思われがちですが,それぞれ一長一短です.
非放任型は,各自の研究がどんどん進みますが[長所],自分で研究テーマを深く掘り下げる動機が低下します[短所].
一方,放任型は自分で何とかしないと研究が進まず惨めな結末が待っていますから,必然的に自分で深く考える機会に恵まれます.
実は,社会で必要な能力とは,こういった「小難しいことを自分で何とか頑張って解決する」ことが本質ですので,上手く行けばかなりのスキルアップが期待できます[長所].
しかし,上手く行かなければ研究のモチベーションが薄れ,才能を開花させる前に枯れてしまう学生も少なくないのが現状です[短所].
以上を踏まえ,鈴木は以下の指導方針が最適だと考え,実践しています (但し,各自の才能や個性に応じて,やや変更する場合もあります).
■ 学部・修士課程では [2]非放任型(研究サポート型) を採用します.
■ 博士課程より [1]放任型 を基本方針として採用します(状況に応じて,一時的に[2]に戻す場合もあります).
この理由として,学部・修士課程では早く研究を進めて,研究活動で行う一連のプロセス(成功体験,学会発表,論文執筆)を体験して欲しいと願うからです.
これらが皆さんの社会的能力を非常に向上させます(自分もそうでしたし,他の学生を見ても確信できます).
その後もし博士課程に進学したなら,放任型指導方針に切換えることで,困難な問題に対して自己解決する能力を養って頂きたく思います.
この能力が身に付かなければ,絶対に研究者として独立できません.
つまり,放任型指導の元で研究に取組むことは極めて重要であり,省略できないプロセスです.
■ 博士号取得後の就職先
研究者として独立できる能力が身に付いていれば,各種の研究機関が皆さんを受け入れてくれるでしょう.
いづれの道に進むとしても,研究実績(論文数,プレゼン回数)が主要な選考基準となります.
よって着々と実績を積んでいれば,将来についての不安は全く不要です.
一般に博士課程は就職難だと言われますが,それは研究実績が少ない者がごろごろいるからです.
博士課程は放任型指導が一般的ですから,それを勘違いして研究せずダラダラ過ごす学生が少なくありません.そりゃー就職できませんよ.
私の知る限り,研究実績が十分にあって路頭に迷った学生は一人もおりません のでご安心を!
さらにWEB上では,ブラック企業やら博士課程進学への偏見が散見されます.
こういったものはデキナイ連中の戯言ですので,振り回されないように気をつけて下さい.
たとえブラック企業でも,デキル連中は出世して高給取りになって,良い会社だなぁ〜と思っています.
そうなれない連中がうさ晴らしでWEB上で元気になります.かわいそうに...くだらないですね.そんな暇があるんなら,仕事をすれば良いのに.
皆さんもあっち側の人間にならないようにしましょう.
■ 大学教員に応募する場合
まずは助教に応募し,教育・研究経験を積みながら,講師,准教授,教授とステップアップしていきます.
JREC-IN,毎月発行される様々な学会誌,各大学のHPにて,公募情報を見ることができます.
(早い段階でJREC-INに目を通しておくと良いですよ)
選考プロセスは,[1]書類選考(2〜5人程度に絞られる) --> [2]面接(1回のみ) --> [3]採用 が一般的です.
■ 大学の研究員として応募する場合
ポストドクター(通称,ポスドク)と呼ばれる身分となり,外部の研究室に勤務し,研究者としての視野を広げる武者修行をします.
有期の身分(任期3年以下が一般的)ですが,大学の助教程度の給与を貰えます.
近年では,ポストドクターの人数が多く社会問題になっていますが,若いうちに多様な研究分野に触れるのはとても良いことだと認知されています(私も同感です).
研究業績を着々と積んでいけば,その後のステップアップも容易です.
こちらの公募もJREC-INが参考になります.
■ 法人の研究機関の研究員に応募する場合
これまでは,研究者といえば大学の先生になるっきゃないと盲目的に考えられる傾向がありましたが,近年では法人の研究機関も人気が上がっています.
その最大の魅力は,大学と違って授業など教育活動をやる必要が無く,研究活動に専念できるからです.
また,博士号を持っていれば入り易いのも人気の1つでしょう(博士号 or 国家公務員一種 の資格が必要).
(※) 博士号は国家公務員一種と同等,若しくはそれ以上の資格なのです!どう?取りたくなりませんか?
有名どころとしては,
・理化学研究所 (理研)
・産業総合研究所 (産総研)
・情報通信研究機構 (NICT)
などがあります.いずれも各ホームページ or JREC-INが参考になります.
なお各機関では,正規研究員以外にもポスドクも採用しています.
特に,理研の基礎特別研究員(基特研)や学振の特別研究員(下記参照)はポスドクの一種ですが,ステータス・給与・研究費がとても高く,若手研究者の登竜門と呼ばれています.
さらに,学振の特別研究員は博士課程1年生からなれますので,給与(約20万円/月)を貰いながら博士号を取得することも可能です.研究費も年間70万程度貰えます(下記参照).
■ 企業の研究機関の研究員に応募する場合
以下は,民間研究所の名門です.これらを勤務した後,教授として大学にやってきた先生方を多数知っています.
・国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
・NTT研究所 (採用情報)
その他,規模は小さくなりますが,日本には民間研究所が多数存在します.
1例を紹介すれば,とめ研究所 というのもあります.ここは,博士号を取れなかった者も採用OKというポリシーです.
(ここには私の後輩が勤務しています.その彼は,過度な放任型指導のもとで潰れてしまい,博士号取得に至りませんでした...しかしそんな彼もちゃんと就職できました.)
■ 研究職にこだわらない企業に応募する場合
近年,博士号所得者が急増しましたので,企業の方も採用姿勢が強まりつつあります.
右のサイトをご覧下さい.(人気企業の博士採用)
トヨタ自動車,パナソニック,日立製作所,ソニー,キャノン,シャープ,富士通,NEC,日産自動車,
旭化成,野村総研,花王,味の素,東レ,富士フィルム,マツダ
など多数の企業が,博士課程修了者を公募しております.
■ 博士課程中の費用の問題
基本的に「修士課程進学のススメ」と同じです.
しかし大きく異なるポイントとして,学術振興会の特別研究員があります.これには必ず応募しましょう!自分の研究を他者に伝えるトレーニングにもなります.
■学術振興会の特別研究員(通称,学振) [詳細情報]
[メリット]
・大学院に通いながら,月20万程度の給与が貰える.(当然,返済義務無し.生活費として使用可能).
・年間70万程度の研究費が支給される.(学会の旅費や研究に使うPCなどに使用可能).
・毎年5月下旬に応募できます.(たとえ不採用でも,毎年チャレンジできます).
・募集区分はいろいろあります.DC1(修士2年の5月に応募)〜PD(博士課程終了後2年).
・研究業績と研究内容が選考基準.(研究業績を増やせばそれだけ期待度UP).
・優秀な学生としてのステータスとなり,就職も有利になります.
その他,修士課程進学のススメもご覧下さい.