推薦書の書き方

大学院推薦入試や各種奨学金など,推薦書が必要なる場合がありますが,
基本的に学生本人に下書きをして頂き,それを基に鈴木が清書します.

理由は以下の通りです.
・本人次第で,いくらでも良い推薦書を作成できる.
・私が作成すると,定型文の使用が主となるため,アピール不足になりがち.
・逆に定型文の使用をやめると,個人差が生じてしまうので好ましくない.

といっても,書き方が良く分からないと思いますので,サンプルを掲載します.
なお,私に対する推薦書は,私自身が書いたものです.


■ 大学院推薦入試の場合
申請者である◯◯◯◯君は,研究室に配属されてから研究テーマに積極的に取組み,着実に成果を上げている.また,学力的にも問題なく勉学や研究に取り組む姿勢も真摯である.今後も研究に全力投球できる環境を構築するには経済上の問題を解決するため本奨学金が必要となる.以上の理由で◯◯◯◯君を奨学生として推薦する.

■ 奨学金の場合
申請者である◯◯◯◯君は,茨城大学入学時より常に高い勤勉意欲を有し,広範な学術分野に関する知識を習得すべく積極的に活動しております.その結果,自然科学のみならず人文科学に関する知識に優れ,今後は文理を融合した新しい研究テーマに挑戦すべく,大学院に進学しました.この挑戦を結実させ有意義な人生経験を積むには,本奨学金によって経済上の問題を解決し,研究活動に全力投球できる環境を構築することが必須であります.このような理由から◯◯◯◯君を奨学生として推薦いたします.

■ 研究助成金の公募
[例1]
私は,申請者が大学院生の頃より,学会や研究集会などを通じてその研究内容や研究に対する姿勢を見ておりますが,申請者の研究に対する純粋な興味や,情熱を持って積極的かつ自主的に研究に打ち込むひたむきな姿勢が強く印象に残っています.本年度より,申請者は私の研究室で助手として勤務しておりますが,彼の資質と将来性を高く評価しました.本学においても,持ち前の好奇心と向上心で,学生の指導を新しい貴重な体験であると認識し,常に全力で業務を遂行しています.特に,実験指導においては,常に明るく学生に接し,積極的にコミュニケーションをとり,学生からの評判も高いです.また同時に,学生の興味を刺激し,常に集中できる教育環境を作り出しています.

申請者の性格は,非常に温厚で,礼儀を重んじ控えめです.これに対し,研究に対する姿勢は積極的であり,学術論文誌への投稿,国際会議や国内での様々な学会,他大学における研究発表会を始めとする多くの場で,活発に議論を交わしています.特に,そのような機会を多く持つことで,広範な分野,特に,類似の研究分野に関する見聞を広めており,とりわけ指導をしなくても,自立した研究活動を行なっています.今後,こうした活動により得られた知識を融合することによって,ますます独創的なアイデアが生まれることが大いに期待されます.

さらに,申請者は物理学科出身であるが,彼の持つ勤勉な姿勢と多様な興味により,情報系の大学の出身者にも引けをとらない計算機科学の知識と技術を身につけており,様々なプログラミング言語を駆使して,非常に複雑で大規模なシミュレーションが実行できます.この素養は,新たに提案する非線形科学における解析手法の改良や新手法を,独自のアルゴリズムにより検証,補強する際に大いに役立っています.実際に,汎用性のある解析手法を考案し,コンピュータを駆使したさまざまな実データ解析において大きな成果を挙げています.このように,申請者の研究スタイルの特徴の一つは,線形統計量解析にとどまらず,非線形科学的アプローチを用いた現実的な手法にあります.特に,多変量の因果性解析を得意とし,さまざまな実データのモデリング及び予測問題に挑戦し,大変良好な研究成果を挙げており,貴財団の若手研究員助成の候補として強く推薦いたします.

[例2]
申請者は,早い時期から多くの学会発表やレベルの高い論文誌に投稿し,レフリーとの交渉なども経験し,非常に多くの場で活発に議論を交わしています.それに伴い,本人の研究に対する取り組み方がますます良くなり,積極的な研究姿勢が身に付いています.また,そのような機会を多く持つことで,類似の研究分野に関する見聞を広めてきており,今後こうして得られる知識を融合することによって,更に独創的なアイデアが生まれることが大いに期待されます.さらに,申請者は,後進の指導を積極的に行い,その結果,教育・研究指導の経験を積んでいます.それにより,自主的に後輩の研究の進み具合を調べ,問題などがあれば議論を交わし,解決策を提案するといったリーダーシップ精神が育っています.

これまでの申請者の研究では,神経生理学で用いられた解析手法を初めて経済データの解析に応用し,その実データ解析より市場を構成している多変数間の関連性を見つけることに成功しています.さらに,市場のモデルを非常にシンプルな形で構築することで,その関連性の根拠を簡潔に説明することにも成功しています.また,どの変数に注目するかという観点からも全く独創的で,それらの非線形因果性を同時に議論できるモデルを構築するという研究内容は,他の類似の研究には見受けられない研究の独創的な点であります.さらに,経験則の探索は解析手法に強く依存しており,全ての解析手法が万能ではない事実にも着目し,解析手法が適さない条件を明示しかつその解決策を研究しています.このような申請者の研究は,理学の枠を超え,工学においても十分な貢献が可能であると期待できますが,これは本研究の特色でもあります.

このように,申請者はこれまで非線形解析手法の開発に力を注いでおり,実データから解析手法を駆使して得られた経験則から理論を展開していかねばならないこの分野では非常に貴重な人材です.これまでも,経済システムをはじめとする種々の実在系に内在する非線形性の数理構造を明らかにし,その非線形因果性について納得のいく説明を与えています.また,これらの功績が評価されて,平成14年度に財団法人科学技術振興会より小玉記念科学賞,平成15年度に社団法人電子情報通信学会より学術奨励賞を受賞しています.

■ 大学教員の公募
[上記を組合せて,使いまわした例]
私は,申請者が大学院生の頃より,学会や研究集会などを通じて申請者の研究内容や研究に対する姿勢を見ており,申請者の研究に対する純粋な興味や,情熱を持って積極的かつ自主的に研究に打ち込むひたむきな姿勢に強く印象付けられている.本年度より,申請者は私が所属する大学で助手として採用されたが,その際にも,彼の資質と将来性が高く評価された.本学においても,持ち前の好奇心と向上心で,学生の指導を新しい貴重な体験であると認識し,常に全力で業務を遂行している.特に,実験指導においては,常に明るく学生に接し,積極的にコミュニケーションをとり,学生からの評判も高い.また同時に,学生の興味を刺激し,常に集中できる教育環境を作り出している.

申請者の性格は,非常に温厚で,礼儀を重んじ控えめである.これに対し,研究に対する姿勢は積極的であり,学術論文誌への投稿,国際会議や国内での様々な学会,他大学における研究発表会を始めとする多くの場で,活発に議論を交わしている.特に,そのような機会を多く持つことで,広範な分野,特に,類似の研究分野に関する見聞を広めており,とりわけ指導をしなくても,自立した研究活動を行なっている.今後,こうした活動により得られた知識を融合することによって,ますます独創的なアイデアが生まれることが大いに期待される.

申請者は物理学科出身であるが,彼の持つ勤勉な姿勢と多様な興味により,情報系の大学の出身者にも引けをとらない計算機科学の知識と技術を身につけており,様々なプログラミング言語を駆使して,非常に複雑で大規模なシミュレーションが実行できる.この素養は,新たに提案する非線形科学における解析手法の改良や新手法を,独自のアルゴリズムにより検証,補強する際に大いに役立っている.実際に,汎用性のある解析手法を考案し,コンピュータを駆使したさまざまな実データ解析において大きな成果を挙げている.このように,申請者の研究スタイルの特徴の一つは,線形統計量解析にとどまらず,非線形科学的アプローチを用いた現実的な手法にある.特に,多変量の因果性解析を得意とし,さまざまな実データのモデリング及び予測問題に挑戦し,大変良好な研究成果を挙げている.

具体的な研究例としては,経済システムを非線形現象として捉え,実際のデータから抽出可能な情報のみを用いて,その未知のメカニズムの理解および予測の研究がある.ここでは,実際に観測された通貨取引の多変量データの中から経験則を探索し,それを基に多変量間の因果性をモデル化している.その結果,この因果性を効果的に多変量予測法に適用する事で,実際の取引価格の予測精度向上を実現できるという重要な実例を示した.
さらに,経済データのより高度な非線形解析手法の提案も主要な研究目的である.さまざまな実データが有する制約を基に,従来の方法が適用できず誤った結果を導きかねない危険な状況の存在を指摘し,その危険性を回避する新手法の提案およびその有用性の検証を行っている.さらに,この方法の汎用性を拡大することにより,経済データに限らず様々な実データに対して,非線形統計学的アプローチによる解析を行うことが可能になった事は特記すべき事項である.また,提案手法を用いて,経済データの非線形的性質についても詳しく解析し,さまざまな新しい知見を見出している.

このように,申請者は,非線形科学の理論を実際のデータの解析へ応用することが重要となる工学の分野において貴重な人材であり,これまでも,困難であった経済現象のモデル化および予測問題への非線形科学理論の応用を実践し,大きな成功を収めている.また,これらの功績が評価され,財団法人科学技術振興会より平成14年度小玉記念科学賞,社団法人電子情報通信学会より平成15年度学術奨励賞を受賞し,優秀な成績を修めている.



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